環境対応材料を広めていくことで、半導体業界の革新に貢献したい|日立化成工業株式会社 執行役専務 営業本部長 戸川 清さん(S46 経・経)

戸川清氏 日立化成工業株式会社執行役員執務室にて

聞き手:マリー秋沢(H5 比文、賛助会員)

戸川 清さん

マリー秋沢:

日立化成工業の歴史やプロダクト・フォーカスをお聞かせください。

戸川さん:

日立化成工業という会社はもともと日立製作所の化学製品事業部だったんです。それが今から45年前に分かれて日立化成工業になりました。

もともと、日立製作所はモーターをつくる会社でした。日立には銅の鉱山がありまして、日本鉱業という会社が銅をマイニングするときに使う機械をつくるために生まれたのが日立製作所なのです。そして、モーターというのは必ず絶縁ワニスという材料が必要なのですが、その絶縁ワニスを作る工場が日立化成の前身なんです。だから、そこから数えますと100年以上の歴史があります。

日立化成工業の特徴としては、よそからレジンを買ってきて混ぜて販売するのではなく、分子設計や合成といった独自のフォーミュレーションでそれを製品にして販売するところにあります。

どういうものを作っているかと言いますと、大きく4つの分野に分かれます。まず、エレクトロニクス関連の材料。例えば、半導体用の材料、配線盤というコンピュータとか携帯等の機器に入っている部品用の材料、あとはフラットパネルディスプレイ用の材料なども作っています。

次に、機能性材料と呼んでいますが、これはケミカルの世界で、冒頭に話しました絶縁ワニス、コーティングレジン、ペイント用の樹脂、あとはガラスの表面保護のためにフィルムもの等を作っています。その中で、毛色の変わったところではアレルギーの反応をみる診断薬、遺伝子による診断薬などの分野もあります。

もう一つは、自動車関連の部材です。最近は環境への影響や安全性に配慮した部材をつくっていまして、例えば、ブレーキパッドやダッシュボード、バックドアモジュールというSUVの後ろのドアを軽量化のためにプラスチックで作る製品もあります。また、衝突防止用のアンテナやプリウスのようなハイブリッド自動車に使われているバッテリーなども作っています。

最後は電子部品事業部というところで、ここではコンピュータなどのエレクトロニクス機器の中に入っているプリント配線板という部品を作っています。

マリー秋沢:

先日は、第一三共の黒田さんに話を伺ったのですが、ケミカルと製薬はとても関係が深いと思います。最近は世界的にも化学会社の中の製薬部門を持っているところが、企業の再構築として、製薬部門を売却し、化学部門を強化するといった流れもあるそうですが、日立化成工業の場合はいかがですか?

戸川さん:

まさにそういう流れはありまして、私たちも製薬部門は売却しました。

製薬に近いところでは、先ほども申し上げましたが、今は診断薬という分野に特化しています。診断薬というのは薬という言葉はついていますが、実際はプラスチックの容器の中に細かく部屋が分かれていまして、そこに抗原を仕込み、患者さんの血液を通すことで、どういうアレルギーがあるのかをチェックするものです。もともとはアメリカの技術で、私たちもこれはアメリカで買収した会社で製造しています。

マリー秋沢:

戸川さんはアメリカでの勤務経験もあるそうですが、どのような仕事をしていらっしゃったのですか?

戸川さん:

アメリカには1988年から1993年の終わりまでいました。前半のNY時代はどちらかといったら航空機などに使われるコンピュータ用の配線板を扱っていまして、後半は半導体材料が中心で、モトローラやTIなどがお客様でした。

そういえば、半導体業界でSEMIという団体がアメリカにあるのですが、今度7月からそこの役員になりました。そこに日本の材料メーカーが入るのは初めてなんです。その中で私に期待されていることは、環境対応材料を広めていくというところで半導体業界の革新に貢献することではないかと思っています。

マリー秋沢:

上智大学の学生時代に学んだことで、どういうところが今につながっていらっしゃいますか?

戸川さん:

私の指導教授は斉藤金一郎先生というマーケティングの専門家で、J.W.トンプソンの社長などもしていた方と、もう一人が三木邦夫先生という東京銀行ロンドン支店長をしていらっしゃった方なのですが、その二人の先生からはマーケティングと国際的な視点という2つを学ぶことができました。

また、課外活動ではSISECという国際交流サークルの活動で、アテネオ・デ・マニラ大学との交換留学プログラムの手伝いなどをしました。会社に入ってから、シンガポールやアメリカで仕事をしましたが、現地で仕事をしている人たちの力をどう引き出すかというところは上智大学での経験や精神が活きたと思います。

マリー秋沢:

最後に、上智の学生や卒業生に対して一言お願いします。

戸川さん:

上智大学は規模は小さいけど、真面目に勉強できる良い環境を備えた大学だと思います。これから市場がますますグローバル化していく中で、将来のグローバルリーダーに育ってもらいたいということが、私が後輩に期待するところです。

マリー秋沢:

戸川さん、今日はどうもありがとうございました。

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