身近な課題・問題は地方自冶体のリーダーシップで!|秋田県大仙市長 栗林 次美さん(S45 経・経)
先輩インタビユー第一回は秋田県大仙市長の栗林次美さんにお話を伺いました。
左から豊田、栗林市長、秋沢、小野地氏(秘書)
聞き手:マリー秋沢(H5 比文、賛助会員)
編集:豊田圭一(H4 経・経)

昨今、地方税制の問題が議論されていますが、これらの税議論に関して市長のご見解は−。
栗林市長:今回の住民税増税、所得税減税の関係は、国でやることと自治体がやることの区別をはっきりさせて、身近な課題は自治体へという地方分権の考えに則った結果が税源委譲という形になったものです。
もともと日本のシステムは中央集権的でしたが、国が全部吸い上げて戻すというやり方から、不充分ながら地方が税としていただいてそれを使えるというやり方に変りました。これが3 兆円の税源委譲だったんですが、トータルでは同じ額になるはずでも、所得税はその年から徴収するにも関わらず、住民税は一年遅れで徴収されるため、ズレが生じます。このことは、国や自治体も説明してきたつもりなんですけど、一般の人にとっては徴収されて初めて理解するところもあるので、それは丁寧な説明が必要だと認識しています。
また、今回はそれ以外にも景気対策としてやっていた定率減税がなくなったということも重なり、住民からみれば余計に税金が高くなったという感じがするかもしれません。いずれにしても、税源委譲することで、これからは福祉などの身近な問題は国が関与するよりも地方に任せるべきではないかと思っています。それだけスタッフもそろってきていますし、能力的には十分にやれます。地方に任せたほうが費用対効果の問題、住民に対する説明もよくできると思っています。
地方には少子化や過疎化の問題もありますが、やはり、若い人は地方から出て行くケースが多いですか?
栗林市長:若い人たちの特権というか、若いときは自分のやりたいことをやろうというのは当然ですし、それを止めることはできないと思います。ただ、若者の気持ちという以前に、田舎には仕事をする場所(職場)が少ないという問題があり、仕事を求めて外に出て行かざるをえない。大仙市は農業が中
心で、あとは製造業(工場)やサービス業(小売)が少しなのですが、どれも安定した職業ではなく、雇用が厳しい。学校や県庁、市役所なども雇用できる人数が限られていますので、有効求人倍率も日本全体では上がっているとは言え、秋田県では0.6くらいという数字です。
結局、ふるさと納税の考え方はそのあたりからきているんですよ。子供を一生懸命育て、大学まで投資をしても、雇用がないために、その子供たちが地元に帰ってこないので、東京とか大都市に残ってしまうのです。
だから、東京でも海外でもいいですが、どこかで活躍した人が、自分が育ったところ、自分にとってのふるさとに対して貢献ができるような仕組みはあってもいいのではないかと思います。もちろん、住民税全部を納めてくれというのではなく、10分の1くらいでも地方にまわしてもいいんじゃないか?というくらいに考えています。
民間企業はスリム化を実践していますが、自治体としてはどのようにしていこうと思っていますか?
栗林市長:従来の自治体のやり方は効率が悪いですから、今後はいい意味で効率化することが大切です。そうすることで住民サービスの質もあげなければいけないと思っています。実際、何もなかった時代は官でやらなきゃいけないことも多かったんですけど、今では民間に任せたり、民間と一緒にやれることも増えてきました。状況は徐々に変わっていますが、例えば私が市長になる以前は、市民会館を市が管理しないといけなかったのが、民間に任せてもいいことになりました。また、特別養護老人ホームなどは社会福祉法人で十分にやれますので、今切り替える準備に入っています。それ以外に保育園だって幼稚園だって民でできることです。それによっていいサービスが安くできるようになる可能性があります。
マリー秋沢:年金問題がニュースになっていますが、市民からの問合せ等はありますか?
栗林市長:心配になって市役所にも問合せをしてくる方はいらっしゃいますが、ニュースで話題になっているほどパニックにはなっていません。年金は6 年くらい前までは市町村が扱って、住民は市町村に納めにきていたんです。それをなくしちゃって、社会保険事務所でやるようになったので、記録の管理がおかしくなってしまった。市町村に記録があるから、調べれば調べられるのですが、国の対応が悪くて、それができてないので問題になっています。
マリー秋沢:上智大学での思い出や後輩へのメッセージをお願いします。
栗林市長:私はクリスチャンではないですが、大学で宗教や哲学に触れたことが政治の世界に入る時に勉強になったと思っています。かっこよく言えば、「人道主義」というか、そういうことが政治の原点だと思うので、そこを学べたのが上智だったように思います。
また、今の学生には、将来やりたいことのきっかけを掴めるような大学生活を送って欲しいですね。目標を持って大学に入る人もいるかもしれないですけど、大学時代は将来の方向付けができる時期だと思います。大学生活の中でそういうものが生まれてくればいいのではないでしょうか。
最後に大仙市のPRをぜひ!
栗林市長: 大仙市は2005年に8つの市町村が合併してできた大きな市です。面積は866平方キロもあります。周りを山々に囲まれた自然豊かなところで、多くの温泉にも恵まれています。土壌や気候もいいので、お米の「あきたこまち」は一番おいしいですよ。
あとは、大仙市が世界に誇るものとして「大曲の花火」があります。長岡、土浦、大曲が日本三大花火と言われていますが、長岡はスポンサー花火で、大曲と土浦が競技花火です。中でも、歴史があって、花火が丸いという概念をくずしたのが大曲と言われていますから、花火師にとっては大曲の花火は歌手にとっての紅白歌合戦のようなものです。そして、これを見るために毎年60〜70万人が全国から来るんです。
ぜひ、皆さんにも一度見ていただきたいですね。
栗林さん、今日はどうもありがとうございました。
