

- 日時:7月4日16時〜17時
- 聞き手:マリー秋沢(比較文化学部)
- 編集:豊田圭一(経済学部 平成4年卒)
今回は秋田県大仙市の市長としてご活躍されている栗林次美さんにお話を伺いました。地域格差やふるさと納税の話など、地方自治体のリーダーの立場から話していただきます。
こんにちは!本日はお忙しいところ、お時間を取っていただきましてありがとうございます。それでは、先輩インタビューということで、早速始めさせていただきます。
昨今、住民税増税や所得税減税と議論されていますが、これらの税議論に関して市長としての見解を教えてください。
今回の住民税増税、所得税減税の関係は、国でやることと自治体がやることの区別をはっきりさせて、身近な課題は自治体がやったほうがいいだろうという地方分権の考えに則っていった結果が税源委譲という形になったものです。
もともと日本のシステムは中央集権的でしたが、まだ不十分とは言え、国が全部吸い上げて戻すというやり方から地方が税としていただいてそれを使えるというやり方になりました。これが3兆円の税源委譲だったんですが、トータルでは同じ額になるはずでも、所得税はその年から徴収するにも関わらず、住民税は一年遅れで徴収されるため、ズレが生じてしまいます。このことは、国や自治体も説明してきたつもりなんですけど、一般の人にとっては徴収されて初めて理解するようなところもあるので、それは丁寧な説明が必要だと認識しています。
また、今回はそれ以外にも景気対策としてやっていた定率減税がなくなったということも重なったので、住民からみれば余計に税金が高くなったという感じがするかもしれません。
いずれにしても、税源委譲することで、これからは福祉などの身近な問題は国が関与するよりも地方に任せるべきではないかと思っています。それだけスタッフもそろってきていますし、能力的には十分にやれます。地方に任せたほうが費用対効果の問題、住民に対する説明もよくできると思っています。
地方には少子化や過疎化の問題もありますが、やはり、若い人は地方から出て行くケースが多いですか?
栗林市長: 若い人たちの特権というか、若いときは自分のやりたいことをやろうというのは当然ですし、それを止めることはできないと思います。ただ、若者の気持ちという以前に、田舎には仕事をする場所(職場)が少ないという問題があり、仕事を求めて外に出て行かざるをえないという状況です。大仙市は農業が中心で、あとは製造業(工場)やサービス業(小売)が少しなのですが、どれも安定した職業ではなく、雇用が厳しいです。学校や県庁、市役所なども雇用できる人数が限られていますので、有効求人倍率も日本全体としては上がっているとは言え、秋田県では0.6くらいという数字です。
結局、ふるさと納税の考え方はそのあたりからきているんですよ。子供を一生懸命育て、大学まで投資をしても、雇用がないために、その子供たちが地元に帰ってこないので、東京とか大都市に残ってしまうのです。
だから、東京でもあるいは海外でもいいですが、どこかで活躍した人が、自分が育ったところ、自分にとってのふるさとに対して貢献ができるような仕組みはあってもいいのではないかと思います。もちろん、住民税全部を納めてくれというのではなく、10分の1くらいでも地方にまわしてもいいんじゃないか?というくらいに考えています。
民間企業はスリム化を実践していますが、自治体としてはどのようにしていこうと思っていますか?
栗林市長: やはり、従来の自治体のやり方は効率が悪いですから、今後はいい意味で効率化することが大切でしょうし、そうすることで住民サービスの質もあげなければいけないと思っています。実際、何もなかった時代は官でやらなきゃいけないことも多かったんですけど、今では民間に任せたり、民間と一緒にやれることも増えてきました。
状況は徐々に変わっていますが、例えば私が市長になる以前は、市民会館を市が管理しないといけなかったのが、民間に任せてもいいというようになりました。また、特別養護老人ホームなどは社会福祉法人で十分にやれますので、今切り替える準備に入っています。それ以外に保育園だって幼稚園だって民でできることです。そして、それによっていいサービスが安くできるようになる可能性があると思います。
年金問題がニュースになっていますが、市民からの問合せ等はありますか?
栗林市長: 心配になって市役所にも問合せをしてくる方はいらっしゃいますが、ニュースで話題になっているほどパニックにはなっていないと思います。年金は6年くらい前までは市町村が扱って、住民は市町村に納めにきていたんです。それをなくしちゃって、社会保険事務所でやるようになったので、記録の管理がおかしくなってしまったということがあります。
市町村に記録あるから、調べれば調べられるのですが、国の対応が悪くて、それができてないので問題になっています。
上智大学での思い出や後輩へのメッセージをお願いします。
栗林市長: 私はクリスチャンではないですが、大学で宗教や哲学に触れたことが政治の世界に入る時に、勉強になったと思っています。かっこよく言えば、「人道主義」というか、そういうことが政治の原点だと思うので、そこを学べたのが上智だったように思います。
また、今の学生には、将来やりたいことのきっかけを掴めるような大学生活を送って欲しいですね。目標を持って大学に入る人もいるかもしれないですけど、大学時代は将来の方向付けができる時期だと思います。大学生活の中でそういうものが生まれてくればいいのではないでしょうか。
最後に大仙市のPRをぜひ!
栗林市長: 大仙市は2005年に8つの市町村が合併してできた大きな市です。面積は866平方キロもあります。周りを山々に囲まれた自然豊かなところで、多くの温泉にも恵まれています。土壌や気候もいいので、お米の「あきたこまち」は一番おいしいですよ。
あとは、大仙市が世界に誇るものとして「大曲の花火」があります。長岡、土浦、大曲が日本三大花火と言われていますが、長岡はスポンサー花火で、大曲と土浦が競技花火です。中でも、歴史があって、花火が丸いという概念をくずしたのが大曲と言われていますから、花火師にとっては大曲の花火は歌手にとっての紅白歌合戦のようなものです。そして、これを見るために毎年60〜70万人が全国から来るんです。
ぜひ、皆さんにも一度見ていただきたいですね。
栗林さん、今日はどうもありがとうございました。
栗林次美さん経歴
- 昭和45年
- 上智大学経済学部経済学科卒業
- 昭和45〜51年
- (株)ダイヤモンド−タイム
- 昭和51〜56年
- 衆議院議員秘書
- 昭和62〜平成2年
- 秋田県議会議員
- 平成7〜15年
- 秋田県議会議員
- 平成15〜17年
- 秋田県大曲市長
- 平成17年〜
- 秋田県大仙市長
リンク
秋田県大仙市 http://www.city.daisen.akita.jp/
