始まったばかりの挑戦

 今、一週間に20局ぐらい囲碁の対局をしている。35歳にして既に悠々自適の生活?と思われるかもしれない。しかし私は「インターネット囲碁サロンの席亭(運営者)」なのだ。これは相当珍しい肩書きと思われる。皆さんの周囲にいらっしゃるだろうか。
 昨年7月に私は、会員制インターネット囲碁サロン『石音(いしおと)』を立ち上げた。石音は、囲碁に限らずオンラインゲームの世界では史上初と言えるかもしれない仕組みを持ったサイトである。それは、今自分が対局している相手がどこの企業の誰で、どんな顔をしている何歳の人かが分かるのである。匿名を売りにしたネットコミュニケーションに一石を投じたい気持ちで創ったのが「石音」である。

ネットとリアルの共生に挑戦する石音

 そしてもう一つ、「ネットとリアルの共生」というものに石音は挑戦している。本屋とアマゾン、デパートと楽天、などネットとリアルが競争している事例はたくさんある。しかし共生しているものはあまりない。ネットを活用してリアルコミュニティーを盛り上げることは出来ると信じている。ネットがリアルの代替として機能して仲間同士が顔をあわせなくなっていくということはないのだ。むしろその逆であることを私はこの事業で証明したい。

 大学を卒業して丁度12年になる。まさか自分がこの年齢で囲碁ビジネスを立ち上げるとは在学中は勿論、10年ほど勤務した日商岩井(当時)在籍中も全く想像だにしなかった。しかし今思えば、商社にいながら三和銀行(当時)に一年間出向したり、同期の仲間と社内ベンチャーを興して経営を任されたり、という経験を積み上げる中で、ある一つの強い意思が自分の心の中で育まれたようだ。

「自分がいるからこそ出来た、産まれた、というサービスを世の中に出したい。」

 そしてその意思を最後に一押ししてくれたのが妻(平成7年外英卒)だった。在学中同じテニスサークルに所属していた妻と結婚したのは2003年3月。そして私が独立起業を決心したのが2004年5月だった。その翌月、報道機関(共同通信)に勤務している妻は3年間の予定で北京に特派員として赴任していった。妻の帰国までに事業を軌道に乗せるという分かりやすい目標が設定できたのだ。お互い仕事も住んでいる場所も全然違うが、まさに気分は二人三脚といったところだろうか。オリジナルな人生を味わいつくすべく、僕らの挑戦はまだ始まったばかりなのである。
(囲碁サロン「石音」経営)

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