イタリアに魅せられて
趣味の陶芸と料理を習おうと思い立ち、商社を辞めてフィレンツェに向かったのが23年前。当時の日本は伊料理やサッカーのブームもなく、イタリアは遠い存在でした。
イタリアでの1年あまりの充電期間が、私の大きな転期となりました。帰国時は、伊語の使える仕事は限られており、自分の趣味の時間が取れる勤めを捜したら、米系自動車会社になりました。趣味で伊料理を週末教えたり、年に1,2回はイタリアにバカンスに行ったり、私生活はイタリアと関わる楽しみでいっぱいにしました。ただ、仕事はデジタル思考のアメリカに翻弄されて、アナログ発想のヨーロッパへの思いが募っていきました。
EUのビジネスマン研修プログラムの担当ポストに転職
そんな時、縁あってEUのビジネスマン研修プログラムの担当ポストに転職しました。EU諸国のビジネスマンが日本で日本語を1年学んだ後、日本企業に研修に行くプログラムですが、すでに20年以上続いています。米系企業勤務後なので、歴史のあるヨーロッパの思考法がより日本に近いと感じ、EU各国の個性も楽しめる職場でした。役所(大使館)という環境にいて、EUのビジネスマンと関わっていく内、自分もまたビジネスの世界に戻りたいという思いがだんだん強くなっていきました。
7年近くの研修担当の勤務後、ローカルスタッフの勤務条件が改正されるのを機に、自営業に転換しました。トスカーナにある紙(文具、包装紙)メーカーの総代理店とイタリア主体の生活雑貨の輸入を行っています。ソーホーオフィスを自宅に構え、ほとんど一人で行っているので、フットワークの軽いのが取り得です。スポットで通訳、取材や撮影のセッティングなどをイタリア、EU関係でこなしています。
日本商社で輸入実務、米系企業の総務人事部で会社経営を学び、EUでヨーロッパの人脈を持ったことは、異なる職場ながら、今役立っています。気ままな自営業で、よりイタリア的生活を楽しんでいます。

((有)アルバ ローザ代表取締役社長,ftuchiya@cb3.so-net.ne.jp)
