トラウマ脱出の為のヨーロッパ演奏旅行

今年の夏の、異常気象を思わせる雨続きは、例年であれば長野県の八ヶ岳周辺でゴルフや山登りの夏休みを終えて、気分爽快な九月を迎えるところだったのですが、今年はなんとなくフラストレーションの溜まった休み明けでした。また、今年は私にとってはもうひとつのプレッシャーがありました。それは、一昨年の参加以来ほんのお付き合いのつもりで活動して来た、作曲家の三枝成彰氏が主唱されて各界著名人も多く参画していることでも話題の、「六本木男声合唱団」のヨーロッパ公演が迫ってきたことによるものです。

「六本木男声合唱団」のヨーロッパ公演

今回の演奏旅行は、9月14日のオーストリアのウィーンを皮切りに、16日のグラーツ、更には18日のベルリンと欧州三都市に及ぶものです。現在、参加予定の団員は約100名、参加家族は80組を超える大デリゲーションとなりそうです。公演会場もウイーンでは、小澤征爾指揮ウイーンフィルによるニューイヤーコンサート開催で日本でも一躍有名になった「樂友協会大ホール」、ベルリンでは「コンツェルトハウス」と、いたって本格的な公演になりそうな勢いです。レパートリーとしては、三枝氏作曲の「レクイエム」全曲(演奏時間は約50分)、「希望海」、同氏編曲の「冬の夜」、山田耕筰作曲「からたちの花」をはじめ、「そうらん節」、「八木節」、「黒田節」といった日本民謡、更にはシベリウス作曲「フィンランディア」やオペラの名曲を数曲と多岐にわたったものが用意されています。

そもそも、横浜の県立高校の合唱部で、男声合唱にすっかりはまってしまった話や、その後の、仕事の上で「ザ・バンド」、「マイケル・ジャクソン」、「ダイアン・リ―ヴス」といったアーティストとの関わりや、音楽そのものへの拘りについて「Mostly Classic」の取材記事の中で語ったことがきっかけで、この合唱団に入団することになった訳ですが、2年あまりの間にここまで深入りするようになるとは、当初は考えてもおりませんでした。

もっとも、よく考えてみると、昨年8月、毎年のように1週間から10日程滞在している長野県の野辺山の拙宅から、毎日見ていた八ヶ岳に突然登りたくなり、あまり気の進まない妻と娘を強引に誘って、赤岳、地蔵、硫黄と2日間で縦走してしまったのも、実は前述の合唱団と並行して山岳部に所属、北アルプスや丹沢を歩き回っていたことと無関係ではないことに気が付きました。

そして、当時のいわゆる受験戦争のなかで、ほかの同級生たちがしのぎを削って勉強している中で、のんびりと、合唱や山にうつつを抜かして、結局、一浪という過程が必要となった自分自身への、一種の罪の意識と反省から、上智大学入学の時に、高校時代からの友人から強く勧められたにもかかわらず、山岳部には入らず、せっかく入部したグリークラブも3ヵ月余りでドロップアウトしてしまった事を、鮮明に思い出しました。

30数年前の一種のトラウマから脱出するためには最高のステージ

今回のヨーロッパ演奏旅行は、この30数年前の一種のトラウマから脱出するためには最高のステージのような気がしています。なお、今回は、経済学部の後輩で、 MIHO美術館の企画運営をしているS52 経営学科卒の今田知広さんが三宅太鼓を引っさげて活躍、また同級生で現在、国際通貨基金(IMF)アジアパシフィック代表の日野博之さんはベルリンから参加と、楽しい旅行になりそうです。本稿が、皆様の目に触れるころには「団」のヨーロッパの大成功が各種メディアで報道されていることと信じます。

(ゲラン株式会社 代表取締役社長)

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