「母校愛」
1989年のある日、私は東京霞ヶ関ビルにある三井クラブに呼ばれた。そこには伍堂さん、三好さん、本多さんなど経鷲会の生みの親となった先輩達がOB会設立のため集まっていた。私は何時の間にかOB会設立準備委員長に祭り上げられ、設立に全力を挙げた。あれから10数年。会長も伍堂さんから川野さんに代わり、経鷲会は二期目に入った。
どの任意団体も運営に苦労するが、経鷲会も例外ではない。1万人のOB会員と経鷲会を結ぶ唯一の通信手段、「エコノミアン誌」の発行費と郵送代に頭を悩まし、会の運営や企画を実行する時間のやりくりに苦労する。OB同士、教授や学生との親睦に頭を絞る。正直なところ、何故こんなことをしているのか自問自答することがある。答えは「母校愛」。これが会の運営に従事する役員全員に共通する原動力である。
4年間が母校愛をはぐくみ、人生を決定的に左右する。
長い人生で大学の4年間はほんの一部。しかしこの4年間が母校愛をはぐくみ、人生を決定的に左右する。人は何を求めて上智大学に来るのだろうか。学問や教養を高めるのが理由なら大学は他にいくらでもある。私の経験で言えば、上智大学の最大の特色は宗教学と語学である。宗教学を必須科目として正面から扱う大学は少ない。高校2年で大病し生死の境を彷徨した私は、哲学や宗教に興味を持ち、上智大学を選んだ。ホイヴェルス神父の宗教学は心にしみた。卒業後、欧米や中東で働くことになり、この授業で得た知識や教養が非常に生きた。
上智大学の語学は他の大学と質が違う。
もう一つは語学。上智大学の語学は他の大学と質が違う。決定的な違いはSJハウスの先生方である。一流の教育者であり聖職者である先生方が、自分の人生をカトリックに捧げ、学生の教育に当たるからだ。語学は言葉だけではなく、その背景にある宗教、文化、歴史、風俗習慣を総合的に学ぶ必要がある。語学は学生に全人格的な影響を与える。私は第一語学としてドイツ語を学んだが、そのお陰で生涯の師横川文雄先生(故人)に会い、ドイツ勤務を2度も経験できた。私の職場だった日航には社長を含め600人以上のソフィアンが働き、政治家、法曹界、マスコミ、文学者など様様な分野で多くのソフィアンが活躍しているのも、大学の特色と無関係だとは言えまい。
今後も母校と経鷲会の発展に微力を尽くしたいと願っている。
「おお荘厳の学府ソフィア、麗しのアルママーテル ソフィア」。
(エヤーチャーター・インターナショナル副社長)
